【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =120=

2018-11-13 06:02:52 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

 青春を深海に掛けて=高井研=  

 第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ 

◇◆ プレカンブリアンエコシステムラボ、誕生 =3/3= ◆◇

「要チェックや! やっぱりアストロバイオロジーなんや」と山口耕生君言い出したとき、ボクは心が「ドクン」と大きく波打った。 アメリカにおけるアストロバイオロジーの意味する研究領域は広かった。天文学や宇宙物理学における銀河や太陽系の形成論や地球外生命探査が最大の焦点だったのはもちろんだが、実はそれと同じくらいかそれ以上に、生命現象の一般性や地球外環境のアナログ(類似・相似)である地球極限環境研究を推進し、かつその分野を超えた相互作用の発展を目指すものだった。

翻って当時の日本におけるアストロバイオロジーを見れば、宇宙論、天文学的物質探査、地球史研究、隕石宇宙化学、宇宙における化学進化実験、極限環境生物学がそれぞれの分野で「我こそアストロバイオロジー的存在ナリ~」みたいな、まるでヤマト王権(大和朝廷)時代の地方豪族勃興の状態のようだったんだ(ただしヤマト時代の地方豪族の何を知っているのだと言われれば即座に謝る準備はある)。

そして何より、研究者の間にも、一般の人たちの間にも、かなり「臭ェー、ウサン臭ェー」と思われているムード満載だったんだ。

アストロバイオロジーと聞いて「ドクン」とはしたものの、ボクのなかではその言葉を使うのは「まだリスクが大きすぎる」と感じた。特にJAMSTEC上層部には、特に一番の太客である末廣のオジサマなど、アストロバイオロジーという研究分野はともかく、その呪文を唱えるマホー使い系研究者に対する嫌悪感を示すヒトが多いことを痛感していた。

ウルトラエッチキューブリンケージ研究グループのメンバーも似たような印象を持っているようだった。ただ山口耕生君が言うように、アストロバイオロジーが必ずしも地球外生命探査や地球外知的生命探査(SETI)のような探査だけを目標とするのではなく、物理学や化学と同じ宇宙共通の一般的原理として生命現象を解明しようとする学問領域を目指すものだ、という考えには全面的に賛成だった。

宇宙共通の一般的原理を目指して

そんなアストロバイオロジーの持つオトナの包容力を取り入れつつ、またNASA Astrobiology Instituteの目指す方向性の理想像を模倣しつつ、約40億年前の地球生命の誕生時の地球-生命の相互作用に焦点を絞った分野横断研究(ウルトラエッチキューブリンケージ研究)を目指そう。さらには化石記録がほとんど残っていない先カンブリア紀における、生命の誕生から多細胞生物の出現までの地球-生命共進化の道筋の全解明を目指そうず。ボク達は、そんなバーチャル研究組織を提案することに決めた。

この提案書の草稿書きもホントーに楽しかった。ボク達は手分けして、現在までに知られる先カンブリア紀の重要な地球-生命史イベントの徹底的に洗い直して、ボク達がどのような新しい分野横断アプローチでこの研究領域に切り込めるかを一生懸命に考えたんだ。それぞれの分野の見解をぶつけ合い、何がわかっていないのか、何を明らかにすることができそうかを絞り込んでいった。

そしてウルトラエッチキューブリンケージ研究の時と同じように、提案書が完成した時点でボク達は例えようのない満足感を得る事ができた。ボク達は不純異分野交遊の快楽を知ってしまったんだ。一旦そのアブノーマルな快感を知ってしまうと、既存の研究分野の与えてくれるノーマルな喜びではなかなか満足できなくなってしまうのだった。

そんな背徳の喜びを知ってしまったボク達が提案した「プレカンブリアンエコシステムラボラトリー」は2007年10月にまずバーチャルラボとして発足することになった。

そのようにして誕生したプレカンブリアンエコシステムラボラトリーは激動の軌跡を刻みながら(それについては後述)、今なおその勇姿はJAMSTECの中で燦然と輝いている(震え声)。その提案書に書いた志は色褪せる事なく、ボク達の進むべき道の方向性をはっきりと照らしてくれているのだ(さらに震え声)(http://www.jamstec.go.jp/less/precam/j/index.html)。

= エンケラドゥスvsエウロパvsケレス(3/7) =

・・・・・ 宇宙に生命を探せ‼ ・・・・・

/海ある、ゆえに生命あり

つまり「海が存在すること」はほぼイコールで「大量の水と岩石からなる熱水活動が存在すること」なのです。

 さらに「熱水活動があれば生命は存在できるの?」という畳かけの質問に対しては、このシリーズで長沼毅さんが述べられているように(またワタクシの「青春を深海に賭けて」連載でもグダグダと述べているように)、現在の地球では「深海の熱水域では、熱水活動からもたらされるエネルギーや元素や物質だけで生命活動が支えられている」ということがはっきりと分かってきました。そしてその背景にある原理のようなモノについても。

 最近では、「いや、一旦誕生した生命を支えるには深海熱水だけで十分かもしれんが、生命を誕生させるには岩石でできた大量の陸、そしてホカホカ温泉が必要なんだ!」と主張する「ぶらり温泉旅」派研究者が結構勢力を伸ばしてきていますが、「生命の存在(生存)」と「生命の創造(誕生)」を別にして考えた場合、「海底熱水活動があれば生命は存在できる」ということは、地球ではほぼ証明されていると言ってもいいのです。

「海ある、ゆえに生命あり」。それはおそらく地球限定のハウスルールではなく、宇宙共通法則の可能性が高いとワタクシは思っています。だからこそ「我思う、ゆえに海が存在する天体に生命を探す」とも言えるのです。

「海ある、ゆえに生命あり」。それはおそらく地球限定のハウスルールではなく、宇宙共通法則の可能性が高いとワタクシは思っています。

 はっきり言って、広大な宇宙には、海が存在する天体なんて無数にあるでしょう。しかし、例えば「犯人はワシが見れば一発で見抜ける!」と豪語する敏腕刑事よろしく「生命の存在はワシが望遠鏡で覗けばだいたい分かる…かも」と言うような凄腕天文学者がいたとして、その天文学者が宇宙はるか彼方の惑星を観測した結果、「生命が存在する兆候発見」みたいな新聞記事が出たとします。

 どうでしょう? 多くの人にとってにわかには信じられないのではないでしょうか。ワタクシもそうです。

 やっぱり納得できるブツ=証拠が欲しい、それも直感的に納得できる証拠が…。そして、できれば自分で撫で回したり、突いたり、舐めたりしてみたい(あくまで比喩表現で、直接研究してみたいということ)。

 そんなわけで多くの人が本気で探査しようと考える対象は、少なくとも我々の宇宙探査機がなんとか行って証拠を持って帰ることができる太陽系で考えよう、そうしよう、という共通認識があると思います。

太陽系にも海をもつ天体はある

 そして太陽系で海が存在する天体は、長沼毅さんが述べられているように、結構あるんじゃないかと考えられています。まず間違いなくあると考えられているのは、木星の第2衛星「エウロパ」と土星の第2衛星「エンケラドゥス」です。そしてかなり海がある可能性が高いと考えられているのは木星の第3衛星「ガニメデ」。また最近グイグイと存在感と期待を高めているのが、火星と木星の間の小惑星帯にある準惑星「ケレス」です。

 これらの氷衛星や氷準惑星にあると考えられているのは地球の海のような「表面海」ではなく、分厚い氷の下にある「内部海」です。そして「内部海」の下層には岩石層が存在していると考えられています。

 この岩石層が近隣の惑星や衛星の重力の影響で「揉みしだかれて火照っちゃった」挙げ句、氷を解かして「内部海」をつくり、さらに解けた水と火照った岩石が反応した「内部深海熱水」ができていると考えられているのがエウロパやエンケラドゥス、あるいはガニメデ。

一方、岩石層のさらに内部のコア物質の放射性壊変の熱によって、岩石が「火照っちゃった」挙げ句氷を解かし、解けた水が火照った岩石と反応した「内部深海熱水」があるかもしれないと考えられているのがケレス。   ……続く

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 :高井研「極限・宇宙生物学〜生命の起源はどこにあるのか」

  

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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